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2022年Cardanoをスケーリングする方法

スマートコントラクトのコア機能がデプロイされた今、Cardanoの次のステップはパフォーマンスの最適化とスケーリング。それがここから始まります…

2022年 1月 14日 Tim Harrison 7 分で読めます

Cardanoプロジェクトは常に、スケーラビリティ、セキュリティ、そして(重要な)分散化という、ブロックチェーンが抱える3つの課題に取り組んできました。コアプラットフォームの創造を担う組織として、私たちは常に、Cardanoの機能を提供し、長期的に可能性を実現していくために、ステージごとにはっきりと定義されたロードマップを辿ってきました。

まず査読済みの学術研究に深く根ざし、形式手法による開発とHaskellコードを活用しながら、将来に適した堅牢で安全なプラットフォームを提供しました。構築においてここで目指したのは正確性。このフェーズはByron(バイロン)と名付けられました。

この私たちの取り組みを中心に、素晴らしいコミュニティが成長し、現在3,000あまりのステークプールオペレーターによるネットワークを通じて、世界で最も分散化された、プルーフオブステークのネットワークが形成されています。分散化とステークプールに焦点を当てたこの開発期は、詩人にして急進的政治思想家、パーシー・ビッシュ・シェリーにちなみShelleyと名付けられました。

Goguen(ゴーグエン:Alonzo HFCイベントを含む)は、スマートコントラクトのコア機能をもたらし、DeFiおよびDAppへの道を拓きました。最初のPlutus機能がデプロイされた今は、拡大する開発者コミュニティと協力して、引き続きPlutus言語の表現力と全体的な提案を進化させています。

そして現在、CardanoはBasho期に入りました。ここでは、最適化とスケーリングにエネルギーが注がれています。こうした基盤の上に構築し、容量とスループットを着実に増やして、DAppエコシステムの成長に対処し、最初の数十万、次に数百万の新規ユーザーをオンボードすること。DeFi投機家から発展途上国の市民へと広げていきます。

今年、今ここをスタート地点として、使命の次段階であるこの側面を追及していきます。2022年を通じて、Cardanoの容量とスループットを着実に増やすために、パラメーターの調整、改良、強化、その他のイノベーションが、それぞれの役割を果たします。一方、従来の熟慮した安全なアプローチは維持されます。実際、需要の高まりによって、ネットワークが混雑することもあるでしょう。現在はエキサイティングな旅の途中であり、使用率は高まります。ときにはイライラすることもあるかもしれませんが、やむをえません。 成長に合わせて、最適化、スケーリングする方法は以下の通りです。

オンチェーンソリューション

ブロックサイズの拡大

ブロックが大きくなればより多くのトランザクションを運ぶことができます。ブロックサイズは最近8KB(12.5%)拡大され、72KBになりました。今後も、システムを継続的に監視し、ネットワーク全体の健全性に基づいて、徐々に拡大される予定です。

パイプライン

検証と伝播を合体させることにより、ブロックの伝播を向上させます。目標は、ブロック間の「デッドタイム」(ブロック伝播オーバーヘッド)を削減する事によって、ブロックが5秒以内にピアの95%以上に伝播されるようにすることです。これにより、ブロックサイズの拡大、Plutusパラメーター制限の拡張など、より積極的なスケーリングの変更を実行するゆとりが生まれます。

インプットエンドーザー

トランザクションを事前に構築されたブロックに分離できるようにすることで、ブロックの伝播時間とスループットを向上させます。これにより、ブロック伝播時間の一貫性が向上し、より高いトランザクションレートが可能になります。

Plutusのメモリー/CPUパラメーター

メモリー使用効率はチェーン全体で向上しています。具体的には、未使用トランザクションアウトプット(UTXO)処理、ステーク分布、ライブステーク配分およびプール、ハッシュ表現のメモリーが改善されています。

Plutusスクリプトの強化

スマートコントラクトの最適化による強力なEUTXOモデルをさらに効率化

  • リファレンスインプット(CIP-0031)- Plutusスクリプトはトランザクションインプットを使用せずに検査できます。すなわち、インプットに格納された情報を検査するためだけにUTXOを作成する必要はありません。
  • Plutusデータム(CIP-0032)– データムは、データムハッシュの代わりに直接アウトプットに添付することができます。これにより、ユーザーは所与のハッシュと一致するデータムを指定する必要なく実際のデータムを確認できるため、データムの使用方法が簡素化されます。
  • スクリプト共有(CIP-0033)– Plutusスクリプトリファレンスは、トランザクションアウトプットに関連付けることができます。すなわち、オンチェーンで記録し、あとで再利用することができます。トランザクションごとにスクリプトのコピーを提供する必要はなく、開発者の負担が大幅に軽減されます。複数のトランザクションでスクリプトを再利用することで、トランザクションサイズが大幅に縮小され、スループットの向上とスクリプト実行コストの削減につながります。

ノードの強化

改良はエポック全体におけるステークの均等配分や報酬計算に役立つため、ブロックサイズにゆとりを提供します。また、メモリー使用の効率も上がっています。メモリーの圧縮によりRSSフットプリントが削減され、メモリーの共有によりインスタンス化を必要とするデータが少なくなります。2022年1月から使用されるノードバージョン1.33.0は、エポック境界など重要なポイントでのピーク負荷を軽減します。

オンディスクストレージ

プロトコルステータスの一部をディスクに保存することにより、ノードのメモリー依存度が軽減されます。すなわち、RAMに制約のあるシステムでも十分なストレージがあればノードを実行できるため、メモリーはスケーラビリティのボトルネックではなくなります。これにより、ブロックチェーンステータスの大幅な成長が可能になります。

オフチェーンソリューション

サイドチェーン

サイドチェーンは、メインのブロックチェーン(「メイン」チェーン、または親チェーン)に接続された独立したブロックチェーンです。双方向メカニズム(「ブリッジ」)によって、一方のチェーンのトークンその他のデジタル資産を別のチェーンで使用し、その結果を元のチェーンに戻すことができます。資産は必要に応じてチェーン間で移動できます。1つの親チェーンに、まったく異なる方法で運用する複数の相互運用可能なサイドチェーンを接続することも可能です。Cardanoに搭載されるEVMサイドチェーンには、dcSparkのMilkomedaやIOGのEVMサイドチェーンプロジェクト(コードネームMamba)が含まれます。

Hydra

同型的ステートチャネルを含むレイヤー2プロトコルファミリーを導入して、スループットを最大化し、遅延を最小化し、低コストまたはコストゼロを実現し、ストレージ要件を大幅に削減します。Hydraは、メインチェーンの台帳を安全な決済層として使用しながら、オフチェーンのトランザクションをより効率的に処理する手段を提供します。

オフチェーン計算

非同期コントラクト実行(ACE)などを使用して計算の一部をオフロードすることで、コアネットワークの効率を向上させます。トランザクションはブロックチェーンの外部で発生しますが、信頼モデルを介して高速で低価格のトランザクションを提供できます。

Mithril

スケーラビリティを向上させるには、参加者の数に対数的に依存する重要な操作の複雑性に対処することが不可欠です。Mithril(ミスリル)は、信頼を維持しながらチェーン同期を向上させます。結果として、セキュリティ機能を損なうことなく高速かつ効率的なマルチ署名集約を実現します。

インフォグラフィック: Mikki Pham/Fernando Sanchez

Tim Harrison

Tim Harrison

VP of Community & Ecosystem

Communications